東急こどもの国線は延伸妄想のはかどる路線である(2)

前回のおさらい。町田市周辺の鉄道路線でひとつだけおかしいところを挙げるとするならば、小田急多摩線と京王相模原線と多摩都市モノレールの3つである(小田急小田原線・江ノ島線・JR横浜線・東急田園都市線はなくなると困るので特別に許そう)。でもそれに輪をかけておかしい路線は、東急こどもの国線。どうしてこどもの国駅で路線が終わってしまっているのか。頑張って鶴川駅まで延ばすことはできなかったのか。延ばす理由がそんなに無いけれども、延ばせなかった理由が沢山あったようである。お察しします。

前回:東急こどもの国線は延伸妄想のはかどる路線である(1)

いっぽう、そのころ。他の町田市延伸路線の事情

そして今回は、前回の予告通り東急こどもの国線の延伸プランを語ろう。ただ、すぐに語るとは言っていない。その前に一旦こどもの国線の話題から離れ、町田市の鉄道路線延伸に影響するかもしれない最近の出来事を追ってみよう。

桜美林学園が小中学校跡地に新校舎建築

旧本町田西小学校ならびに旧本町田中学校の跡地に、桜美林学園が新キャンパスを開設するという話。この話自体は2015年に町田市との間で協定が締結されていたので、目新しい話ではない。ただ、現在残存しており市から無償で譲渡された旧校舎の解体工事が6月から始まったという話だ。
当初の計画では、既存の校舎をそのまま利用するという話であった。桜美林学園が2014年に新宿区に取得した土地に新設するキャンパスと比べて、重要度の低い施設になるのではと推測ができた。町田市内にある既存の町田キャンパスから新宿のキャンパスにビジネスマネジメント学群が移転することも鑑みて、桜美林学園の緩やかな町田脱出計画が進行しているのではないか。したがって桜美林のキャンパスへの通学需要をあてにして多摩都市モノレールの進路を決定するのは危険なのではないかと以前力説した。

町田ゼルビアのJ2復帰は多摩都市モノレール野津田ルートの可能性を上げるか

それが協定により50年間の定期借地権が設定され、また校舎については既存のものを解体し新築するという。こうなってくると、容易には町田市を脱出できないだろう(やったぜ)。それと同時に、多摩都市モノレール延伸の暁には、町田市内の桜美林両キャンパスを経由する桜美林学園線という形で市は要望を固め続けなければならず、ルートの浮気ができなくなった。

町田ゼルビアのスタジアムがJ1仕様を満たすため改修設計着手

2016年にサッカーJ2リーグに昇格した町田市のサッカークラブ、FC町田ゼルビアであるが、昇格年に一時は首位に立つなど予想以上に快進撃を続け、最終結果は22クラブ中の7位でシーズンを終えることとなった。
この快進撃で粟を食ったのはクラブと町田市で、ホームスタジアムである町田市立陸上競技場がJ1クラブのホームスタジアム要件を満たしていないため、たとえチームがJ2リーグ2位までの自動昇格圏あるいは3位の昇格プレーオフ出場圏でフィニッシュしたとしても、折角の昇格権を失ってしまうことになる。なんだかこういった経緯をつい最近J3からJ2への昇格の際に見たような気もするが、毎度毎度スタジアムの昇格要件を満たすための改修と、その予算について問題となっている。
スタジアム改修計画における概算では、総観客席数を1万5000席以上にするためバックスタンドを増設した場合で、58億8000万円を要するという。DAZNマネーをあてにしてもJ1優勝でもしない限り焼け石に水のような気がするが、J1スタジアムへの改修が前向きに検討されているということで、陸の孤島ともマチュピチュとも称される町田市立陸上競技場との付き合いはこれからも続いていくことだろう。

つまり、野津田への交通手段の要請が増えたけれども、モノレールのルートは確定

桜美林学園の町田離れの可能性が高かったならば、野津田にある町田市立陸上競技場へのスタジアム線としてモノレールのルートを検討し直すことができだだろう。ただモノレールのルートは動かないものとして考えた方が良くなったため、陸の孤島であるスタジアムにどっかから交通手段を引っ張り込んでこなければならない。

こどもの国線を野津田まで延伸してしまうのです!

そこで妄想案の出番である。こどもの国駅で止まっているこどもの国線を、鶴川駅を経由して町田市方面に西進させ、野津田の陸上競技場まで繋げてしまう。こうすることによりこどもの国駅以降の利用客が見込めるし、同時に町田市の鉄道空白地帯の解消にもなる。高低差を無視している?地下ほれ地下。
こどもの国駅から鶴川駅まで横浜高速鉄道に作らせて、鶴川駅から先を町田市が第三種事業者として保有する。その内川崎市が色気を出してたまプラーザ駅-鶴川駅あたりを繋いでくれるかもしれない。そうしたらまた神奈川県北部の鉄道事情が面白くなるだろう。先の長い話だけれども。
そのようにして長津田駅から野津田まで直結する路線。始点駅と終点駅の名称をそれぞれ取って、東急ズタズタ線。これでいかがでしょう?

コメント

  1. トシ より:

    こどもの国線延伸面白いですね。
    野津田への延伸案として、
    横浜市営地下鉄が新百合ヶ丘までの延伸を計画していますが、新百合ヶ丘から橋本まで延伸案はいかがですか。
    直線で結んだ中間に、野津田があります。
    川崎市、町田市、相模原市の共同で町田地下鉄いかがでしょう。

    • admin より:

      川崎市の王禅寺付近を経由して新百合ヶ丘駅に至る鉄道路線は、数年前に川崎市が計画を断念して以来実現可能性が薄くなったものと認識していたのですが、横浜市営地下鉄側が乗り気で地質調査なども行っている段階なのですね。横浜先輩流石っす。延伸計画が一向に具体化しない多摩都市モノレールと大違い。前々から東京都はいけ好かないヤツだと思っていました!

      実際に提案をいただいた野津田のスタジアム経由橋本行きのルートだと、メリットとしては町田市縦断鉄道で出来なかった野津田ルートと桜美林学園ルートの両取りが出来そうです。終点が橋本駅になるのも、リニア需要を考えると合理的です。ただ、横浜市内在住者は品川に出て乗ることの方が多そうなので、需要と言っても町田市・川崎市の路線沿線住民に限られ、結果新百合ヶ丘駅以降が常にガラガラ状態になるかもしれませんが。
      町田市側のデメリットとしては、横浜線を代替する輸送手段が出来てしまい市域へのハブ駅も新百合ヶ丘駅に移ってしまうことで、町田駅が死んでしまうことですかね。将来的には小田急線の快速急行やロマンスカーなども、相模大野駅には停車するのだから町田駅はスルーして、代わりに新百合ヶ丘駅に停めようということになってしまうかもしれません。その点においてはこどもの国線をスタジアム線として延伸する案の場合、長津田駅も鶴川駅も町田駅を殺さないだろうという絶対的な安心感があるのですよね。

      でも、現在の町田市の感じですと横浜先輩が共同地下鉄作りましょうと持ちかけてきた場合、何も考えずにホイホイ飛びつくと思います(笑)。横浜市町田区みたいな扱いになるのも、満更ではない感じ(サッカーチームに町田の名が残りさえすれば)。

  2. オフィス三銃士 より:

    コメント失礼いたします。
    編集プロダクションオフィス三銃士と申します。

    現在弊社では東急線に関する書籍の制作を行っております。
    そこで、是非こちらのサイトをご紹介させていただけないかと思っております。

    突然のお話で恐縮ですが、企画書をお送りさせていただきたく、ご連絡が可能なメールアドレスをお伺いすることは可能でしょうか。
    何卒ご検討のほどよろしくお願いいたします。

    • admin より:

      コメントへの反応が遅くなってしまい申し訳ございません。
      当サイトを書籍でご紹介いただけるとのお話、大変恐縮でございます。
      掲載にあたって特に内容の確認・許諾等必要としませんのでご自由に扱っていただければと思います。

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