12月6日に大分銀行ドームで行われたJ2・J3入れ替え戦2ndラウンドの結果、FC町田ゼルビアは来期3年ぶりにJ2の舞台へと復帰することが決定した。ついでに、国鉄町田駅も大分に返還する必要がなくなった。まあこれは、ウチのサイトが勝手に煽っていただけです(笑)。
昇格決定後、町田市長発言が話題に
昇格が決定した当日、ゼルビアの公式サイトでは現町田市長石阪丈一氏のコメントを掲載した(リンク)。全文はサイトの方で見てもらうとして、各所で話題になっていたのはコメントの以下の部分だ。
特に、来年のJ2には、あの清水エスパルスがいます。エスパルスの地元、清水も我が町田と同じく、少年サッカーの“まち”として知られています。かつてFC町田としてしのぎを削った相手、清水FCのふるさとです。
“あの”清水エスパルスという名指しが誤解を生んで拡散していたように見受けるが、引用箇所の後段のとおり、石阪市長はゼルビアの前身であるFC町田が、小学生サッカー大会の黎明期に先駆者であった清水FCを参考にしつつ強豪として地歩を固めていった歴史を引き合いに出しているのである。ゼルビア側が昇格当日のタイミングで市長コメントを掲載することからも分かるとおり、石阪市長はゼルビアによる町田の盛り上げの推進者である。ホームスタジアムのある野津田町の出身で、市長選の対立候補から”町田をサッカーの街にしない”という公約が出てくるほどの入れ込みようなのである。
野津田町にサッカーというコンテンツを作り、ゆくゆくはモノレールも…
ゼルビアのホームスタジアムである町田市陸上競技場は、JFLの順位によりゼルビアがJリーグ昇格候補になった際に何度も昇格基準を満たしていないと騒動になったスタジアムである。結局J2昇格基準である観客席1万席の確保等を、2013年になってやっと実現する。
近年の改修でJ2基準をどうにか満たしたという経緯なので、これからJ1昇格基準(観客席1万5千席の確保等)を満たすスタジアムに変えていくのには時間を要するだろう。あとは、スタジアムまでのアクセスの絶望的な悪さを改善しないといけないのだが、それを実現する交通機関として町田駅まで延伸されそうな多摩都市モノレールを使えれば丁度良いはずだ。
現状の計画ルートは小山田緑地・桜美林大学経由ルート
多摩都市モノレールの町田駅延伸計画については、もう20年以上も語られ続けており、町田の住民がモノレールを待ちわびているさまは、モノレールを通すことを見越して作られた駅前の東急ツインズ空中回廊にも現れている。
20年以上の年月をかけて醸成されたルート計画では、多摩センター駅から南に伸びたモノレールが町田市域に入ると西向きに進路を変えて、小山田緑地を突っ切ったあと桜美林大学町田キャンパス付近で町田街道にぶつかり、今度は東向きに町田街道の上を通って町田駅に向かうというものになっている(参考:町田市ホームページ)。
これは町田街道部分においての用地確保の容易さや、桜美林大学学生の利用を見越してこのようなルート計画ができたのであるが、線形的には多摩センターを出て、そのまま野津田町を通って南下した方が自然である。モノレールが所要時間で競争力を持つためにも、路線長は短い方が良い。
そして20年の間に状況も変わった。少子化、そして郊外キャンパスを持つ大学の都心回帰の傾向がでてきたことは見逃せない。実際小山田緑地ルートの利用者のアテとなる桜美林大学は、新宿区で7900平方メートルの土地を取得し、新キャンパスを目下建設中である。旧四ッ谷キャンパスの7倍の広さとなる新宿キャンパスに、町田キャンパスからも一部施設を移転するとなると、なおさら小山田緑地ルートの将来は不透明だ。
(勿論、旧本町田中学校・旧本町田西小学校を桜美林学園が再生利用する動きは把握している。けれども随分東寄りの用地を取得してきたと、思いません?)。
石阪市長の心づもりは野津田ルートなのでは?
鉄道延伸の話題と言えば、町田市としてはもう一つ、小田急多摩線の延伸について交通政策審議会の太鼓判待ちになっている。多摩線延伸については確かに町田市域は通るものの、相模原駅をターミナル駅とすることによる町田駅の相対的地位減少の可能性が考えられるわけで、石阪市長を始めとする町田市政が延伸に積極的であることに違和感を覚えていた。が、これは市西部住民からの鉄道敷設要請に対して、多摩線の延伸に向けて尽力しますので、モノレールのルートはもっと東に寄せますよという現実的妥協への働きかけなんじゃないかと思えてきた。
モノレールが野津田を通り、巨大な新スタジアムが野津田にできる。こうなれば、野津田に石塚市長の銅像の一つでも建つかもしれない。
(追記)
とりあえずJ2スタジアム要件に新たに付け加えられた観戦用の大型ビジョンを、これから数億円の予算をかけて競技場に設置するらしい。
草の根チームからのJ1昇格という大目標が果たして可能なのか。キャッチアップするだけで財政的に火の車になってしまうのではないかと心配です。
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