隣の芝生のニュータンタンメン

ニュータンタン グルメ
ニュータンタン

神奈川県はヘンなご当地ラーメンの宝庫である。家系ラーメンとか、サンマーメンとか。もう少しマイナーなものになってくると、神奈川淡麗系ラーメンとか、三崎まぐろラーメンとか、城門ラーメンとか、小田原系とか。そして家系のラーメンはともかく、他のラーメンはなかなか神奈川県を出られずご当地グルメの座に甘んじているところを見ると、これらの趣向を凝らしたラーメンはどうも神奈川県民のみを満足させるラーメンのようだ。

町田名物…ではなく川崎名物のニュータンタンメン

我が神奈川県町田市には、その点特段のご当地ラーメンが無い。ラーメン屋自体は非常に多く、町田駅周辺などメッカになっている筈なのにである。きっとつまらない東京の市区町村に擬態をするため、とびっきり面白いご当地ラーメンが登場しそうになると町田市政が横槍を入れるのだ。町田のラーメン文化として年越しラーメンなるものが流行りそうになったことがあるが、これがラーメン店店主達によるせめてもの抵抗であったのだろう。
一方お隣さん、川崎市には地味にご当地ラーメンが存在する。それが今回紹介するニュータンタンメンで、このニュータンタンメンはシンプルにニュータンタンとか、ニュータンとか、川崎溶き卵系とも呼ばれる。タンタンメンという名称ながら、多分画像検索などでまっ先に出て来るアレではない。むしろ激辛味のラーメンを想像させるような真っ赤な見た目で、おどろおどろしい。国境を超えて神奈川県に入ってきた東京都民を追い返すのに十分なプレッシャーを与えうる。

ニュータンタンメンの起源はいまのところ謎

ニュータンタンが川崎名物のグルメとして台頭していったのは、やはり元祖ニュータンタンメン本舗というチェーンの力が大きいだろう。タンタンメンにニューが付いたネーミングは、初めて店名を目にした人の興味を大抵引く(新加勢大周みたいなものだ)。”元祖”に”本舗”までついたこのいかにも元祖じゃなさそうなチェーンが出来たのが昭和37年で、有志の研究によりそれより前にこのスタイルのラーメンがあったのではないかと考えられている(参考サイト:川崎溶き卵系ラーメン研究室)。いずれにしても、他のマイナーな神奈川ご当地ラーメンと同じく横浜中華街を有する神奈川県だったからこそ、本場の中華料理を祖として日本風に料理をアレンジしていってできたローカライズグルメであるようだ。

武蔵新城の元祖ニュータンタンメン本舗新城店

元祖ニュータンタンメン本舗の店舗の中でも、評価の高い店舗と低い店舗の差があるようだ。今回はニュータンタンの入門も入門ということで、無難に評価の高そうな新城店に行ってみることにした。最寄駅はJR南部線の武蔵新城駅。徒歩1分。

神奈川県川崎市中原区上新城2-11-26

ニュータンタンが食べられる店として、これ以上ない程分かり易い店構えだ。

元祖ニュータンタンメン本舗新城店

元祖ニュータンタンメン本舗新城店

扉の紋章が格好良い

扉の紋章が格好良い

専門的な話をすると、このニュータンタンメンはイソゲンであるらしい。専門的な話終わり。
ニュータンタンの他にも餃子や丼物などのメニューがポツポツあるが、メニューの中心を占めるのはニュータンタンとそのトッピングだ。あとは辛さを”ひかえめ”、”普通”、”中辛”、”大辛”、”めちゃ辛”の5段階で調節できるらしい。”大辛”くらいで頼んでおこうかな。

見た目激辛麺!のわりにどこかやさしめの味

ビジュアル面!圧倒的に辛そうな、まかり間違って唐辛子を入れ過ぎてしまった感がある。そして目の前に出されても、これがスープなのか麺類なのか分からない。通常のラーメンにおける水面上部分が皆無で、具は全てスープの中に溶け込んでいる。

ニュータンタン

ニュータンタン

スープの中に沈んだ麺は、上品な中華料理らしい細めの麺である。

ニュータンタンの麺は意外と上品そう

ニュータンタンの麺は意外と上品そう

いざ食してみると、、意外と辛くない。おそらく溶き卵とひき肉が辛いスープに対しての避難所として機能しているのだと分かるし、そもそものスープも見た目程激辛ではないのだ。見た目いかついけど優しい系の麺だ。
そして、全体的に感じるのはニンニクの強さ。辛さよりもこちらが印象に残る。勝浦タンタンメンとか城門ラーメンのような、体を温める系の進化ではないだろうか。例に挙げた2者は海から上がってきた漁師やサーファーに対するアピールでそういった進化をしたと言われているが、ニュータンタンにも本来具体的なアピール対象があったのではないかと推測する…

というわけで川崎名物のニュータンタン、毎年厳しい寒さと過剰な積雪に襲われる山岳地帯町田の民にもアピールできるところはあるのではないだろうか。今後是非進出してほしいものである。

再訪優先度5.0

(味はまぁそんなに…味を論ずるグルメではないよね)

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