現在サッカーのJ3リーグを戦場として戦っている、町田市のFC町田ゼルビアと相模原市のSC相模原。この2チームのダービーマッチは、ホームチームが町田の場合に武相決戦、相模原の場合に相武決戦という呼び方がされる…といった話を以前紹介した。
サッカーJ3武相決戦の横断幕「町田発ロマンスカー 相模大野は通過点」はホント?
今年もこの武相決戦・相武決戦が計3回予定されているわけだが、折角の奇数回開催、勝ち越し/負け越しの決着がはっきりとつく可能性が高いということで、ダービーマッチ盛り上げのためにも今年から勝ち越しチームに対して特別な報賞が用意されることとなったようだ。
翌年のダービー名称を賭けて
その報賞の内容というのは、翌年開催するダービーマッチの名称を全てホーム開催時に使っている名称に出来る、というもの。たとえば今年の勝ち越しチームがゼルビアだった場合、2016年度のダービーマッチ名称は全て武相決戦。たとえ相模原市にあるギオンスタジアムで行われた試合でも、武相決戦。武州>>(超えられない壁)>>相州である。
一方、勝ち越しチームがSC相模原だった場合は、、まあまず無い可能性なので、論じる必要もないかと思う。なにしろゼルビアの歴史は25年(J2に昇格した事もある!)昨年JFLからJ3に初昇格したSC相模原とは、年期が違うのである。あの有名なロマンスカーだって、3分の1は相模大野を通過する!!
2015年ダービーはSC相模原の先勝
と、いささか投げやりな(笑)啖呵を切ってみたものの、実はこの武相決戦・相武決戦の初戦が第6節4月19日(日)に行われており、東京ヴェルディから晴れて完全移籍となった元日本代表高原選手のゴールなどで、SC相模原が既に2-1で勝利している。町田…昨年の対戦成績では3タテにしていたのに。
ということで、来年のダービーマッチが相武決戦になってしまわないためには、ゼルビアがこれから少なくとも1勝1分け以上の対戦成績でなければならない。東京都から町田市が盲腸手術のごとく切断されてしまわないためにも、相州の傘下に組み入れられようとする動きにはとにかく抵抗していただきたいところだ。
ん…?報賞に感じる違和感
まあこのダービー名称を報賞にするという動きは、対決構図をつくって、お互いに応援が盛り上がってくれるといいね、というサポーター間の美談、そのように聞こえる。けれどもロマンスカー横断幕よろしく、この話にもツッコミどころは存在する。
ダービーマッチの報賞となっているのは、翌年の直接対決の名称なのであるが、ということは翌年に両チームの対決がないと、折角の戦利品が無駄になってしまう。J3には年間順位をはじめとしたいくつかの昇格条件があり、それらを満たしたチームは翌年からJ2に戦いの舞台を移すことになるのだが、当然どちらか片方のチームだけが昇格してしまうと、翌年のダービーマッチは実現しない。
J2に昇格できるのは最大2チーム。したがってゼルビアとSC相模原が仲良く手をつないで昇格すれば丸く収まるのだが、SC相模原の場合、J2昇格に必要な順位以外の条件(J2ライセンス)をまだ満たしておらず、少なくとも今年は何位でフィニッシュしてもJ2昇格ができない。
すると、「翌年行われるダービーを盛り上げましょうね!」というエールの贈り合いに見えるこの報賞案。実は相模原側からの、「来年も仲良くJ3で戦いましょうや、グヘヘ」という呪詛的なお誘いなのではないかと疑ってしまう。
そこまでの被害妄想を働かせなくても、たとえばシーズン終盤でゼルビアが昇格争いに絡んでいる中で、SC相模原との直接対決に翌年のダービーマッチ名称が賭かっています!と煽られても、選手もサポーターもちょっと困惑してしまうのではないだろうか。そして、その試合でSC相模原サポーター側のモチベーションって完全に「(相武決戦の実現のためにも)町田を昇格させるな!」だよね(笑)。
決戦が血戦にならないためにも
応援合戦のプロレスが本気の殴り合いに発展してしまうと困るので、たとえば同一ディビジョンに在籍している際に発生する決戦を第○○次武相決戦・相武決戦といったようにカウントアップしていく形にして、翌次の決戦の名称を賭けて争うというような分かり易い形で周知をしていった方が良いのではないだろうか。もっとうまい方法があればそちらでもよい。とにかく現状は、魚の小骨の如く違和感が喉に引っかかるのです。
コメント